旭山記念公園野鳥情報、2020(令和2)年9月19日土曜日
ここ1週間の旭山記念公園と札幌市旭山都市環境林の野鳥の動きをまとめました。
この野鳥情報は、旭山で野鳥観察をしておられる方からご提供を受けたものも含まれています。
◎今週のシマエナガ
エナガ(亜種シマエナガ)
今週は朝7時頃から9時頃の間にほぼ毎日森の家の前に群れで来ました。
9月13日日曜日、朝7時半頃、第2駐車場からヘアピンカーブ辺りで声が聞こえ、上空にノスリが飛んで来ると激しい警戒音を出しました。
それから少しずつ西に移動し、森の家南側の林から森の家の西を抜けてカラマツ林の方へ飛んで行きましたが、声の聞こえ方から5、6羽かそれ以上はいた感じです。
9月16日水曜日は朝8時半頃、13日とほぼ同じ動きで現れましたが、移動がゆっくりで、森の家の周りにいるのが20分ほど確認できる状態でした。
9月17日は朝8時過ぎに珍しく森の家の西側から飛んで来て東側に抜けましたが、8時45分に同じルートを180度回転するかたちで東側から飛んで来て西側に行きました。
この時は10羽以上いました。
そして本日9月19日は9時半頃に第1駐車場及び栗の木デッキ方面から森の家周辺に現れ、少しずつ西に移動し山に入って見えなくなりました。
そろそろ暑さも和らぎ、平地に降りて来たようで、旭山でも見られる機会が多くなってきています。
ただし、まだまだ木々の葉が多く、じっくり観察したり写真を撮ったりするのはちょっと大変です。
◎今週のトピックス
ハチクマ
本日朝9時過ぎ、旭山の北西から2羽の猛禽が高い空を飛んで来るのが見えましたが、双眼鏡で観察するとハチクマでした。
高度を下げることなく、時々羽ばたきを交えながら滑翔して南西に飛んで行き見えなくなりました。
写真は、強引にトリミングし補正し、なんとかハチクマであることが分かる程度したものです。
ハチクマは今まで秋の渡りのシーズンである9月に2度ほど観察記録がありますが、観察情報がない年でも時期になると通過している可能性は高そうです。
また、ハチクマの渡りのシーズンということで、室蘭の地球岬などでハチクマの渡りを観察したい方はこの連休がチャンスかもしれません。
(詳しいことは現地の情報に当たってください)。
カケス(亜種ミヤマカケス)
本日、園内でカケスを見たという情報が複数あり、そのうちのひとつは2羽だったとのことでした。
また、一昨日9月17日朝、藻岩山方面からカケスの鳴き声が聞こえてきました。
カケスはここ2回の冬にはほとんど見られなかったですが、今年はこれから春まで居ついてくれるかどうか、居ついてくれることを期待したいです。
これからはカケスに注目です。
イカル
ほぼ毎日旭山の上空を飛んでいますが、3羽のことが多いです。
今週は噴水広場近くの松で親鳥が幼鳥に餌を与えているところを観察したとの情報もありました。
また今日9時前、森の家近くのシラカンバに2羽か3羽がとまっていて、時々ぐぜり(下手な囀り)を交えながら「キッ キッ」と鳴いていて、2分ほどで藻岩山方面に飛んで行きました。
イカルの観察情報はこのようにこのところ多くあり、時々公園内で目視や撮影できる高さに降りて来ているようです。
イカルは例年10月いっぱいくらいまで見られ、11月までいた年もあり、越冬した年もあったので、この冬はどうなるか分からないですが、まだこの先しばらくは観察機会はあると思われます。
【2020年9月21日 追加情報】
サメビタキ、エゾビタキ
今年もサメビタキとエゾビタキが来ました。
学びの森周辺で見られていますが、同じ場所に両方いて、さらにコサメビタキもいるのでよく観察してみてください。
◎夏鳥情報
キビタキ
今週も時々林内から「ヒッヒッヒッ キュピキュピキュピ」という声が聞こえてきて探すと見られたということがありました。
写真はまさにそうして見つけた雄の個体です。
また先日、栗の木デッキ近くにあるタラノキの実を食べに来ていましたが、その木はまだ実があるので来る可能性があります。
コサメビタキ
キビタキと同じ場所で見られることが多く、写真はキビタキのところで触れたタラノキの実を食べに来た時のものです。
「ツイーッ」という声が時々森の家の周りで聞かれます。
キビタキ、コサメビタキとも例年9月いっぱいくらいまで見られますが、今年はどうでしょうか。
オオルリ
この1週間は確かな観察情報はありませんでした。
オオルリはヒタキ類より少し早く9月下旬までには南に渡りますが、今年もそろそろいなくなる頃です。
クロツグミ
今週は確かな観察情報はありませんでしたが、例年南に渡って行くのは10月上旬以降で、まだ見られる可能性があります。
アカハラ
今週は確かな観察情報はありませんでした。
南に渡る時期はクロツグミ同様です。
【2020年9月21日 追加情報】
記事を上げた後、9月19日に学びの森周辺でアカハラを見たとの情報がありました。
今日(9月21日)も学びの森の木にアカハラが飛んで来ました。
この先まだ見られる可能性があります。
ウグイス
「ヂッ ヂッ」という地鳴きが時々聞かれますが、まだ10月ほど多くはありません。
ヤブサメ
今朝も森の家近くで2度ほど笹薮のなかから「ジュッ」と聞こえて来て姿も目視しましたが、ヤブサメも例年9月下旬に南に渡っていなくなり、そろそろその頃です。
メジロ
今日も飛ぶ姿を頻繁に見かけ、時々囀りもしていました。
アオジ
森の家の近くをはじめ園内各所で「チッ チッ」という声を聞き、笹薮から林内を低く飛ぶ姿が見られます。
写真は今朝撮影した雌の個体ですが、見事に(?!)後ろ姿です(キビタキ雄もそうでしたが・・・)
ホオジロ
噴水広場周辺や展望台周辺でしばしば観察されています。
カワラヒワ
「キリコロキリ」という飛びながら鳴く声を聞いたり飛ぶ姿を見たりということがまだあります。
キセキレイ
ここ数日、午前中に一度は森の家の前で声を聞き、時々姿も見ていますが、撮影できるほど近くに来ることはなかなかないです。
モズ
今週は9月15日火曜日、第2駐車場周辺から「キチッ」「キチキチッ」というモズの声が聞こえてきましたが、園内で確認できたのは久しぶりでした。
「モズの高鳴き」はよく知られており、旭山では聞く機会はほとんどないといっていいですが、今年はまだこの先聞けるかもしれません。
アオバト
この1週間は飛ぶ姿を何度か見ただけでした。
アオバトは例年9月下旬には旭山では見られなくなり、そろそろです。
キジバト
鳴き声はほとんど聞かれなくなりましたが、飛ぶ姿はしばしば見られます。
ツツドリ
今週も観察情報はありませんでした。
今年は秋の観察情報がありませんでした。
例年一度は見るのですが。
チゴハヤブサ
今週も園内での観察情報がありましたが、そろそろ南に渡っていなくなる頃です。
◎留鳥・冬の鳥情報
クマゲラ
今週は園内での観察情報はありませんでした。
藻岩山からはほぼ毎日一度は声が聞こえてきており、いつまた旭山に来てもおかしくないですが、クマゲラのことなのでそれがいつかは分かりません。
オオアカゲラ
今週も園内で雌の観察情報がありました。
アカゲラ
今週もよく見られています。
コゲラ
本日、森の家の裏手に5羽かそれ以上のコゲラが来ました。
家族かもしれないですが、見ていると1羽が執拗にもう1羽に迫ったり追いかけたりしていました。
コゲラは観察機会が多くなってきました。
ヤマゲラ
今週も森の家周辺と学びの森周辺で観察情報がありました。
写真はミュンヘンの森付近の地面にいたもので、鳴き声を出しておらず、こちらが歩いていると突然羽ばたいて近くの木にとまったものです。
1分くらいで南の方に飛んで行きましたが、幼鳥の雌の個体と思われます。
シメ
園内噴水広場で頭がまだ緑色の幼鳥を撮影した方がいらして、写真を見せてもらいました。
はっきり幼鳥と分かる個体が園内で観察されたのは初めての記録です。
シメはあまり近くには寄れないですが、しばしば見られています。
キクイタダキ
今週は確かな観察情報はありませんでした。
先週までしばしば出ていましたが、居ついたというのはまだ早いかもしれません。
ノスリ
今週も何度か観察情報がありました。
今朝は上述のハチクマと同じ時に少し離れたところで1羽が飛んでいました。
ノスリはこの冬も辺りに居つくのかどうか注目です。
オオタカ
今週も観察情報がありました。
ハイタカ
ハイタカは今週は確かな観察情報はありませんでした。
トビ
今週は観察情報はありませんでした。
ゴジュウカラ
観察機会は多いです。
シジュウカラ、ハシブトガラ、ヤマガラ
観察機会は多いです。
ヒガラ
今日もまだ囀りが聞こえてきました。
ヒガラはカラ類混群に入らず単独で行動していることが多い(ほとんど)です。
ハクセキレイ
噴水広場付近で時々見られます。
ヒヨドリ
観察機会は多いです。
ハシブトガラス、ハシボソガラス
園内でよく見られています。
【10月10日(土曜日)旭山野鳥観察会について】
10月の野鳥観察会は、10月10日(土曜日)8時開始、10時まで行います。
こちら、9月25日(金曜日)、10時より受付開始とさせていただきます。
参加ご希望の方は、電話、FAXもしくは森の家にてお申し込みください。
◎子規忌
本日9月19日は、俳人正岡子規の命日「子規忌」です。
「糸瓜忌」ともいわれますが、これは子規最後の句に糸瓜が詠まれていたことによります。
このところテレビ番組などでも俳句が取り上げられることが多いですが、今の俳句人気の礎を築いたのが正岡子規です。
子規は鳥の句も詠んでいますが、今日は3句紹介させていただきます。
鵙啼いて秋の日和を定めけり 子規
今週はちょうど野鳥情報で「モズ(鵙)の高鳴き」のことに触れました。
もちろんというか鵙、百舌鳥は秋の季語です。
南天の実をこぼしたる目白かな 子規
東京の根岸に、子規が晩年を過ごした家が「子規庵」として保存されており、見学することもできますが(今はコロナ禍で閉館中)、そこにはメジロも飛んで来ます。
目白は春に囀るイメージがありますが、俳句の世界では秋の季語です。
朝鳥の来れば嬉しき日和かな 子規
これはまさに野鳥観察する人なら誰でも思うことでしょう。
次回は9月26日に上げる予定です。
旭山でのバードウォッチング、皆様が多く見られることを願っております。