旭山記念公園野鳥情報、2025(令和7)年3月30日日曜日。
ここ1週間の旭山記念公園と札幌市旭山都市環境林の野鳥の動きをまとめました。
この野鳥情報は、旭山で野鳥観察をしておられる方から直接ご提供を受けたものも含まれています。
●旭山記念公園および旭山都市環境林で野鳥などの観察や撮影をされるみなさまへお願い。
観察や撮影の際には、道を塞ぐなどにより、野鳥撮影をしない人の通行の妨げにならないようご留意ください。
また、人が通ることにより野鳥が逃げてしまった場合は、仕方ないものと受け止めてくだい。
●野鳥の巣を探さないでください!
野鳥は、春の繁殖シーズンには非常にデリケートになります。
巣を作っているようすを見られたり、巣をのぞかれたりすると、巣を放棄したり、巣を他の鳥などに壊されて、繁殖しなくなってしまう可能性が高くなります。
人間も自分の家をのぞかれると嫌ですよね・・・
野鳥のために、次のことをお願いします!
①巣を探さない
②巣に気づいたら目をそらしてすぐに、しかし動きはゆっくりとその場を離れる
③巣を見ない/巣がある場所が分かったら近づかない
④巣の場所を人に話したり、ネットに情報を上げたりしない
●4月の野鳥観察会は、3回とも募集定員に達したため、受付終了とさせていただきました。
あしからずご了承ください。
●ネイチャーカフェ「野鳥の鳴き声に強くなろう」は募集定員に達したため、受付終了とさせていただきました。
あしからずご了承ください。
◎亜種表記について
当方ではこれまで、外見で容易に識別できるエナガ、カケス、ゴジュウカラの3種についてのみ、
エナガ(亜種シマエナガ)
カケス(亜種ミヤマカケス)
ゴジュウカラ(亜種シロハラゴジュウカラ)
と記してきましたが、別の亜種名がついている種については、外見での識別が困難なものでも同様に表記してゆきます。
なお、ウソ、カワラヒワについては別亜種が出現した際には本文中に明記します。
夏鳥新着情報
今年も夏鳥がやって来る季節になりました。
ここでも確認され次第取り上げてゆきます。
ただし、冬の間継続的に見られていたイカルと、2月以降見られているトラツグミは、居ついていたものか南から渡って来たものか判断ができないので、今年はここでは取り上げないことにします。
01 ホオジロ
2025年3月23日、ホオジロ今年初認です。
2024年は3月31日初認、こちらも今年は昨年より7日、1週間早い初認となりました。
「遊具広場と噴水広場の間の道」に雄1羽がいましたが、ホオジロのその春初認はたいていその辺りか「展望台の松」での囀り姿です。
その後も観察情報はありますが、今年は雪解けがおそいせいか、まだ観察情報は多くはなく、これからに期待です。
夏鳥到着済みリスト(カッコ内は昨年比)
01 ヤマシギ 2025年3月23日(7日早)
02 ホオジロ 2025年3月24日(7日早)
この先1週間は、モズ、キジバト、早ければキセキレイとベニマシコの初認となる可能性があります。
今週のトピックス
マヒワ
まだ多く残っていて、3月28日金曜日には100羽くらいの群れが観察されました(70羽くらいの群れと30羽くらいの群れが近くを同時に飛んでいた)。
主食としているシラカンバやウダイカンバの種子は残りが少なくなってきており、雪が解けて土が出た地面に降りて採餌する姿もちょくちょく見られるようになってきました。
雪解けが進んだこの時期、冬にマヒワなどが食べたシラカンバの種子と殻がたくさん見られるようになっていますが(写真3枚目)、この先それらも食べに寄って来るかもしれません。
ヤマゲラ
3月28日木曜日、3羽が園内で「ピョッピョッピョッピョッピョッピョッ」と鳴き交わしている様子が観察されたとの情報がありました。
さらに3月29日金曜日もまず朝9時頃に1羽が園内で盛んに鳴き、もう1羽の鳴き声が藻岩山の方から聞こえ、その後昼過ぎまで1羽が園内で断続的に見られ、さらに17時過ぎにもまだ園内から鳴き声が聞こえてきました。
パートナーが決まる時期なのかもしれません。
ただ、3月29日と30日にはその行動は見られず、単独で鳴く声が聞こえてきただけでした。
ヤマゲラは例年4月になると観察機会が増え、「学びの森」付近では芝生に降りて採餌する姿もちょくちょく見られるようになりますが、今年はどうでしょうか。
今週のシマエナガ
エナガ(亜種シマエナガ)
今週も散発的に見られていますが、鳴き声を出さずにいることが多く、たまたま探すといたという感じです。
「遊具広場の森」で比較的観察情報が多いです。
他のカラ類がいる場所にいることが多いのは同じであり、まずはシジュウカラ、ハシブトガラとヤマガラを探すといいかもしれません。
なお、巣作りをしている可能性があるため、シマエナガを執拗に追いかけるのはお控えくださるようお願いします。
公園内の散策路がある場所で観察撮影する分には影響はほとんどないと思われます。
夏鳥情報
イカル
本日森の家上空から「キッ キッ」と鳴き声が聞こえ、姿は見えなかったもののすぐ後に住宅街の向こうから「ホヒリホヒー」と囀りが聞こえてきました。
また、今週は7羽で飛んでいたとの観察情報もありましたが、近くで見られたという情報はありませんでした。
結局のところ、イカルは越冬したことになります。
トラツグミ
今週は園内での確かな観察情報はありませんでした。
ホオジロ
(前述)
ヤマシギ
今週は園内での確かな観察情報はありませんでした。
ヤマシギが園内で春先に見られることがあるのは、「遊具広場の森」周辺、「学びの森」と森の家裏の「イタヤカエデ斜面」ですが、後2者はまだ雪に覆われていてヤマシギも出ないかもしれません。
ただ、雪解けが進んでおり、数日で状況が変わることが予想されます。
旅鳥情報
シロハラ
今週も毎日園内で観察されており、「ミュンヘンの森」の地面で採餌している姿を見ることがあり、他園内で散見されています。
シロハラが多い西日本のバーダーさんによれば、シロハラは「地面で落ち葉をひっくり返して餌を探す鳥というイメージ」だそうですが、今回の写真はまさにそうしている時のものです。
シロハラも気が付くと通常旅鳥として渡って来る時期である4月中旬が近づいてきていますが、このままその時期を迎えそうになってきました。
冬の鳥情報
ツグミ
3月28日そして30日には30羽以上が見られましたが、29日にはぽつぽついる程度で、日よって見られる数が違います。
また、市内他の場所ではまだ数多く見られている場所もあるとの情報があります。
ツグミも地面に降りて採餌する姿が見られるようになってきました。
ハチジョウツグミ
今週は確かな観察情報はなかったですが、もう少し様子をみます。
ウソ
3月29日10時過ぎに「風の丘U字坂」の松から「フィッ」という声が聞こえ、3羽が飛び出して行くのが見えましたが、亜種ウソか亜種アカウソかは不明です。
30日は「巨木の谷」付近で亜種アカウソ雄がいる7羽の群れを見たとの情報もあり、近くで見られる機会が増えてくるかもしれません。
シメ
観察頻度は比較的多く、「ミュンヘンの森」周辺、「作業員詰所」から「遊具広場」にかけての辺りでしばしば見られていますが、相変わらず警戒心が強く、近くではなかなか見られません。
マヒワ
(前述)
アトリ
3月29日「作業員詰所」周りのカラマツでの観察情報があり、本日も見られ、散発的に情報があります。
キクイタダキ
3月29日10時前に「作業員詰所」周りのトドマツに2、3羽いて、10分以上観察できました。
今週も「作業員詰所」付近のトドマツでの観察情報が比較的多く、タイミングが合えばじっくりと観察することができます。
キバシリ(亜種キタキバシリ)
今週は確かな観察情報はありませんでしたが、もうそろそろ旭山記念公園では見られなくなる頃です。
ミソサザイ
今週は確かな観察情報はなかったですが、いなくなるにはまだ早い時期、この先も見られる可能性はあります。
コガラ
今週も確かな観察情報はなかったですが、5月上旬まで見られた年もあったので、まだ見られる可能性はありそうです。
ヒレンジャク
今週も園内での確かな観察情報はありませんでした。
キレンジャク
今冬は今のところ園内での確かな観察情報はありません。
留鳥情報
クマゲラ
今週も園内で近くで見られたとの情報があり、特に夕方は塒に帰る途中で園内に寄る際に見られることがよくあります。
オオアカゲラ(亜種エゾオオアカゲラ)
園内でときどき見られていますが、3月29日には15分ほどの間に近くで雄(次写真上)と雌(次写真下)が立て続けに観察されました。
その2羽はペアの可能性もあります。
アカゲラ(亜種エゾアカゲラ)
園内一円で「キョッ」という声が聞かれることが多く、観察機会は多いです。
「キキョキョキョ」と激しく鳴いて雄同士もしくは雄が雌を追いかける行動もまだ続いており、「カンカンカン」と軽い響きのドラミングも聞かれています。
コゲラ(亜種エゾコゲラ)
観察機会は多く、「ギー」という声が同じ辺りで複数聞こえることもよくあります。
この時期にコゲラを撮影した際には、写真を拡大して雄の後頭部の赤い羽根があるかどうか探してみてください(写真は雄で、拡大して見てください)。
ヤマゲラ
(前述)
オオタカ
今週は園内での確かな観察情報はありませんでした。
ハイタカ
今週は園内での確かな観察情報はありませんでした。
ノスリ
今週は園内での確かな観察情報がありませんでした。
トビ
今週は園内での観察情報があり、写真も撮れました。
ハヤブサ
今週は園内での確かな観察情報はありませんでした。
カケス(亜種ミヤマカケス)
今週も園内での確かな観察情報はありませんでしたが、やはりもう来ないかもしれません。
カワラヒワ
園内でしばしば見られ、「キリコロキリー」という鳴き声も聞かれ、「ギュイーン」という囀りを聞くこともあります。
「作業員詰所」付近でよく見られています。
ゴジュウカラ(亜種シロハラゴジュウカラ)
園内一円でよく見られており、「テュッテュッ」という声はよく聞かれ、近くで見られる機会もあります。
「フィー」「フィッフィッフィッ」という囀りもよく聞かれています。
シジュウカラ
園内一円でよく見られており、「ツーピーツーピー」という囀りを聞く機会も多いです。
ハシブトガラ
園内一円でよく見られており、「ピィピィピィ」という囀りもよく聞かれています。
ヤマガラ
園内一円でよく見られており、「チーリーツー」という3拍子の囀りも聞かれています。
ヒガラ
今週も「ツピツーツピツー」という囀りがよく聞かれており、少し離れたところで2羽が鳴き合っていることもあります。
園内一円の針葉樹で観察機会が多いです。
ハクセキレイ
今週は確かな観察情報はありませんでした。
スズメ
道路沿いで見る機会があります。
ヒヨドリ
今週もほぼいつでもどこかから複数の鳴き声が聞こえてくるような感じです。
ハシボソガラス
園内で時々見られており、首を大きく上下に揺らしながら「ガアー ガアー」と鳴く姿も観察されています。
ハシブトガラス
園内でよく見られています。
雪解けの時期は、先に雪が解けて土が出ている場所に野鳥が採餌に降りて来ます。
野鳥観察の際には(旭山に限らず)、そのような場所をチェックしてゆくと良いかと思います。
旭山記念公園各所名称マップ
野鳥等が観察された詳細な地点をご案内するにあたり、園内各所に名称をつけました。
主に野鳥情報の記事でそれら名称を使用しており、「」(かぎかっこ)でくくったものがその名前で、こちらの地図で場所を確認することができます。
文字が小さいので拡大してご覧ください。
今週のエゾリス
森の家の双眼鏡
森の家では、野鳥観察会の際に双眼鏡を無料で貸出しています。
観察会の時以外にも、森の家開館日には無料で貸出しています。
今回は、森の家の双眼鏡を例に、双眼鏡のお話をします。
これから双眼鏡を使いたい、購入したいという方も、ぜひご参考にしてください。
森の家の双眼鏡を6台ほど。
手前の列真ん中のオリンパスのものは計9台、その他がこれ以外に3台あります。
オリンパスのもので、9台のうちこの写真左の1台のみ10倍、他は8倍です。
双眼鏡は、10倍の方が手振れで見にくくなりやすいため、バーダーの間では8倍が多く使われています。
型番が書かれた部分をアップで撮影した写真。
8×25の8は「8倍」という意味で、この「8倍」というのは、「80m離れたところにある物が、10m離れたところにあるくらいの大きさに見える」という意味です。
25は「対物レンズの口径をmmであらわしたもの」です。
「対物レンズ」とは目を近づけて覗くのと反対側にあるレンズのことで、覗く側のレンズは「接眼レンズ」です。
一般的には、この数字が大きいほど明るく見えます。
WATERPROOFは「防水」です。
FIELD6.2°は「視野が6.2°」という意味で、たいていの双眼鏡にはこの数字がどこかに記されています。
視野が広いほど鳥を見つけやすいです。
こちらの3台は「ポロプリズム」タイプのもので、「ポロ」とも呼ばれています。
写真上のニコンのものは10倍、前の左は8倍、右は6倍です。
「ポロプリズム」とは、対物レンズと接眼レンズがまっすぐではなく角度をつけて配置されているタイプのものです。
こちら3台は接眼レンズよりも対物レンズの方が幅が広く配置されています。
逆に、対物レンズが接眼レンズよりも幅が狭く配置されているタイプもあり、「逆ポロ」とも呼ばれますが、安価な双眼鏡でよく見られます。
長所は、製造コストが安い=安価に購入できること。
短所は、大きくて重いことです。
かつては主流でしたが、今は使う人もごく少ないです。
ただ、「逆ポロ」タイプはそこそこ見られます。
上の写真手前右、コーワのものの型番部分です。
対物レンズの口径30mm、6倍、視野8.0°です。
この双眼鏡、倍率は低いですが、見つけやすくてきれいに見えます。
こちらの2台は「ダハプリズム」タイプのもので、「ダハ」とも呼ばれています。
左のペンタックス、右のコーワともに8倍です。
「ダハプリズム」とは、対物レンズと接眼レンズがまっすぐに配置されているタイプのものです。
長所は、軽くて小さいこと、スタイリッシュに見えることです。
短所は、高価なことです。
今はほとんどの人が「ダハプリズム」タイプを使っています。
上の写真右側の型番のアップです。
対物レンズ口径32mm、8倍、視野7.8°です。
なお、コーワKOWAは、バンテリンや風邪薬のコルゲンコーワを製造している会社で、光学製品も製造販売していますが、コストパフォーマンスが高いとしてバーダーの間では支持者が多いです。
双眼鏡は、口径が大きいほど見やすくなる反面、大きく重くそして高価になります。
よく使われているのは、口径30mm台のもので、大きさと見え方のバランスが取れていて使いやすいとの評判です。
観察会の際には、先着順になりますが、お好きなものをお手に取って観察することができます。
その際に、見比べてみたいということであれば係員にお声をおかけください。
また、双眼鏡を購入したいという方は、森の家の係員になんでもお聞きください。
双眼鏡の見え方には、レンズそのものの品質や全体の作りなど(=価格)も影響してきますが、それはまたの機会に。
次回は、2025年4月6日日曜日に上げる予定です。
(先週号では1週間勘違いしておりました)
旭山でのバードウォッチング、皆様が多くの野鳥を見られることを願っております。