旭山記念公園野鳥情報、2024(令和6)年9月29日日曜日。
ここ1週間の旭山記念公園と札幌市旭山都市環境林の野鳥の動きをまとめました。
この野鳥情報は、旭山で野鳥観察をしておられる方からご提供を受けたものも含まれています。
●10月の野鳥観察会について、10月12日(土曜日)、10月27日(日曜日)、いずれも募集定員に達したため、受付終了とさせていただきました。
あしからずご了承ください。
今週のシマエナガ
エナガ(亜種シマエナガ)
この1週間もほぼ毎日園内での観察情報がありました。
本日の野鳥観察会では、9時過ぎに「吊り橋」下流辺りで声が聞こえ、10羽近くいたような雰囲気でしたが、木の高い位置にいてほとんど目視できず。
その後9時半前に「ちびっこ広場坂」を北から南に10羽前後が次々と飛ぶ姿が遠巻きながらも見ることができました。
情報によればさらにその後その辺りで10分以上見られたとのことです。
昨日9月28日は9時50分と11時20分に「森の家西の沢」に現れ、前者はすぐに西の「藻岩山登山口」方向に移動し見えなくなりましたが、後者は森の家の裏(北側)を通って「ポートランドの森」に入り、目線の高さまで降りて来て10分以上見ることができました。
「森の家西の沢」には9月23日にも現れました。
「ちびっこ広場坂」はそれまで1週間ほどの間は毎日のように出ていたものの、ここ1週間ほど出ていなかったのですが、今日久しぶりに出ました。
他「遊具広場」での観察情報もありました。
今回ここで書いた観察情報はすべて、その時に周りの他のカラ類やメジロも複数種いた状況で、カラ類が何羽かいる場合は少し待つか耳を澄まして探すとシマエナガの声が聞こえてきて見られることもあります。
シマエナガの群れは5羽前後のこともあれば、今日のように10羽以上のこともありまちまちです。
また、観察情報を寄せてくれた方はみなさん、だいぶ羽がふっくらして見えるようになってきたとも話していました。
この先もしばらくこのような出方をするのか要注目です。
今週のトピックス
カワラヒワ
9月23日月曜日朝8時頃、森の家裏のカラマツにカワラヒワが来ていました。
見ている間に1羽、2羽と増え、5羽、6羽とさらに増えたところで何かの拍子で一斉に飛び上がり、群れで数秒ほどその辺りを旋回飛行していましたが、ざっと数えて50羽前後はいたようでした。
カワラヒワがそれだけ多く見られるのは旭山ではめったにないことで、渡りの途中であった可能性が高そうですが、それが亜種オオカワラヒワだったかどうかは、木の高い位置にいたため判断材料に乏しく、確認できませんでした。
カワラヒワは今日の野鳥観察会でも出ていましたが、単独もしくは2羽で、その日の50羽とは違う集団のものであろうと考えられます。
シメ、イカルとトドマツの球果(種子)
9月27日金曜日、「作業員詰所」を囲むトドマツ林にシメ8羽が来てトドマツの種子を食べていました。
先週、その場所にイカルが来ていたと書きましたが、そのトドマツにシメも来ていたということです。
下2枚はシメの写真ですが、1枚目、シメが何かを食べようとしている写真をクリックし拡大して見ていただくと、トドマツの葉の間に上向きに棒状に立っているものや、松ぼっくりのようなものが見えるかと思います。
これがトドマツの種子=球果です。
トドマツは他のマツと名がつく樹木とは違い、「松ぼっくり」が落ちているのを見たことがありません。
トドマツは「松ぼっくり」ができないの? いやそんなはすはないだろうと長年の謎でしたが、調べてみると、トドマツは「松ぼっくり」状の球果はできるけれど木についている間に種子の断片が剥がれ落ち、「松ぼっくり」の形として地面に落ちることがないということが分かりました。
今年は多くの、というかほとんどの樹木の実が大豊作ですが、このトドマツも例外にあらず、こうしてたくさん実をつけ、それを鳥たちが食べに来ています。
シメは冬の間は比較的よく見られますが、昨冬のように年によってはほとんど見られない年もあり、今冬はどうなるか要注目です。
夏鳥情報
キビタキ
9月25日に園内での観察情報がありましたが、もうそろそろ南に渡って見られなくなる頃です。
コサメビタキ
9月28日に園内での観察情報がありましたが、こちらもキビタキ同様そろそろ南に渡って見られなくなる頃です。
クロツグミ
9月27日夕方に「遊具広場の森」で「キュロキュロ」というクロツグミの地鳴きが聞かれましたが、姿は見られませんでした。
クロツグミは例年10月上旬から中旬まで旭山に滞在していますが、今年はどうでしょうか。
アカハラ
クロツグミと同じ9月27日夕方、やはり同じ「遊具広場の森」から「ツー」という強い声が聞こえ、ツグミ大の鳥が飛んでいるのが一瞬だけ見えましたが、それがアカハラかシロハラかは声姿どちらからも判断できませんでした。
ただ、クロツグミとアカハラは南に渡る直前の10月上旬頃に一緒に見られることがあり、今回のそれもアカハラだった可能性が高いのではないかと思われます。
トラツグミ
今週も確かな観察情報はありませんでしたが、10月頃まで見られることがあります。
ホオジロ
9月27日に久しぶりに園内での観察情報がありましたが、今の時期はたまに見られるくらいになっています。
アオジ
今日の野鳥観察会の際に「ポートランドの森」で「チッ」という地鳴きを聞き、少しして散策路を横切って「カラマツ林」の林床に入ったところで、笹薮の中で動く姿がなんとか見られました。
その間何度か「チッ チッ」という地鳴きが聞かれましたが、このところ「ポートランドの森」にいることが多いようです。
ただし、笹の葉より高い位置に出て来ることは稀で、観察・撮影の機会もごく少ないです。
ウグイス
本日の野鳥観察会の際に、「森の家南側斜面」の笹薮で「ヂッ ヂッ」という地鳴きが聞こえ、笹の間に動く姿がちょっとだけ見えましたが、はっきりと見ることはできませんでした。
この時期はその鳴き声が聞こえたら、粘っていれば姿が見られることがありますが、笹薮の外に出ることは稀で(散策路を低く飛んで横切ることはあるが一瞬)、笹薮の中の笹が生えていない場所を見つけてそこに来るのを待っていると見られます。
ヤブサメ
9月25日水曜日に園内で「ジュッ」という地鳴きを聞きましたが、それ以降の確かな観察情報はないです。
もう少し様子をみます。
メジロ
「中央トイレ」横のミズキや「森の家階段」のタラノキの果実をまだ食べに来てはいますが、頻度が落ちており、果実もだんだんと少なくなってきました。
メジロは「チュイーッ」とよく聞こえる声で鳴き、今日の観察会でも声が聞こえなかった瞬間の方が少なかったのではというくらいによく声を聞いており、今の時期出会う機会がもっとも多い野鳥です。
イカル
今週は園内での観察情報がありましたが、11月くらいまではしばしば園内に来るものと思われます。
キセキレイ
園内でまだときどき見られており、今日も「学びの森」の近くにいました。
キセキレイは例年10月中旬から下旬に南に渡って見られなくなります。
モズ
今週も確かな観察情報はありませんでした。
ヤマシギ
今週も確かな観察情報はありませんでしたが、道内では10月まで残っていることが分かっているため、もしかすると見られることがあるかもしれません。
キジバト
今朝も住宅街の方から声が聞こえてきましたが、姿は見られませんでした。
キジバトは例年11月上旬まで見られますが、今年はどうでしょうか。
アオバト
今週は声も姿も確かな観察情報はなかったです。
アオバトは海岸の岩礁に海水を飲みに来ることが知られていますが、道内某所ではそこにもあまり来なくなったとの情報がありました。
ただ、過去に11月上旬に円山で見たことがあるので、もう少し様子をみます。
チゴハヤブサ
今週も確かな観察情報はなく、周辺での情報も少なくなりました。
チゴハヤブサはそろそろ南に渡って見られなくなる頃ですが、もう少し様子をみます。
オシドリ
今週は確かな観察情報はありませんでした。
旅鳥情報
エゾビタキ
昨日9月28日に園内での観察情報がありました。
サメビタキ
こちらは確かな観察情報はありませんでした。
ノビタキ
今週は確かな観察情報はなかったですが、この先観察情報がなければ、来週からここでは取り上げません(また来年)。
ビンズイ
今週は園内での観察情報がありましたが、この秋は飛び飛びで何回か見られていて、この先もまだ来る可能性があります。
冬の鳥情報
シメ
前述の他にも主に「噴水広場」周辺での観察情報があり、しばしば見られています。
留鳥情報
クマゲラ
本日の野鳥観察会、開始直後に藻岩山方面から「プルプルプル」という飛翔時の声とそれに続く「キョーン」という木にとまったときの声が聞こえ、しばらく注目していました。
少ししてまた「プルプルプル」という声が聞こえ、だんだんと大きくなってきたので見上げると「ミュンヘンの森」上空を南から北へ鳴きながら飛ぶ1羽が目視確認できました。
一度近くにとまり、また「プルプルプル」と鳴きながら北西の旭山都市環境林方向に飛んで行ってからは確認できなくなりました。
今週も園内で近くで見られたという情報があり、毎日ではないですが、園内に来ています。
オオアカゲラ
園内でときどき見られています。
アカゲラ
今日の野鳥観察会では「森の家西の沢」で声を聞いたものの姿は確認できず。
その1時間後に「遊具広場の森」で、雄の個体、近くはないけれどじっくりと観察することができました。
コゲラ
観察機会は多く、今日の野鳥観察会でも近くでじっくりと見られる機会がありました。
「ギーッ」という声は独特で分かりやすく、その声が近くで聞こえたら木の幹や枝を探すと姿を見つけることができます。
ヤマゲラ
今週は確かな観察情報はありませんでした。
フクロウ
今週は確かな観察情報はありませんでした。
オオタカ
今週も確かな観察情報はありませんでした。
ハイタカ
9月23日8時過ぎ、藻岩山方面から飛んで来て「遊具広場の森」辺りに降りる雌と思われる1羽が観察されました。
ノスリ
今週は確かな観察情報はありませんでした。
トビ
今週は確かな観察情報はありませんでした。
ハヤブサ
今週も園内での観察情報はありませんでした。
オオセグロカモメ
今週も園内での観察情報はありませんでした。
カケス(亜種ミヤマカケス)
例年9月中に山から降りて来ていますが、今年は9月29日現在まだ声や姿を確認していません
やはり、山の食糧が豊作で降りて来るのが遅いか来ない、という可能性もあり、カケスには要注目です。
カワラヒワ
50羽の群れについては前述ですが、それ以外でもまだ1羽から3羽でときどき見られています。
ゴジュウカラ(亜種シロハラゴジュウカラ)
園内一円でよく見られており、近くで見られる機会もあります。
「テュッ テュッテュッ」という声を聞くことも多く、今日の野鳥観察会でも途中何度か聞くことができました。
シジュウカラ
園内一円でよく見られています。
ハシブトガラ
園内一円でよく見られており、今日の野鳥観察会では3mくらいのごく近くで見られた瞬間もありました。
ヤマガラ
園内一円でよく見られており、シジュウカラ科の中では最も見る機会が多いかもしれません。
この時期地面に降りて採餌することも多く、その場合は近くで見られることもあります。
ヒガラ
今週もまだ「ツピツーツピツー」という囀りはまだ針葉樹から聞こえてきています。
姿もしばしば見られています。
ハクセキレイ
今週は確かな観察情報はありませんでした。
スズメ
道路沿いで見る機会があります。
ヒヨドリ
今週も園内各所で見られていますが、巣立ち間もないと思われる幼鳥の観察情報もありました。
ハシボソガラス
「噴水広場」から「テラス状階段」の辺りと第1駐車場でだいたいいつも見られ、全部で数羽から10羽くらいいます。
ハシブトガラス
園内でよく見られています。
旭山記念公園各所名称マップ
野鳥等が観察された詳細な地点をご案内するにあたり、園内各所に名称をつけました。
主に野鳥情報の記事でそれら名称を使用しており、「」(かぎかっこ)でくくったものがその名前で、こちらの地図で場所を確認することができます。
文字が小さいので拡大してご覧ください。
旭山その他の自然情報
チャイロスズメバチ
道を歩いていましたが、このような状態で刺すことはほぼないです。
チャイロスズメバチは他のスズメバチの巣を「乗っ取る」ことで知られています。
ネバリノギク
旭山記念公園で最後に咲き始める花、ネバリノギクが咲き始めました。
ネバリノギクは外来種で、森の家の前や「テラス状階段」近くなどでぽつぽつと見られます。
次に紹介するエゾノコンギクと似た感じ、同じような場所に生えていますが(これらの写真はどちらも森の家の前で撮影)、花弁の形や葉の形などで見分けることができます。
エゾノコンギク
秋に多く咲き、秋の野山を代表する花、エゾノコンギク。
森の家の前や「レストハウス木段」付近など園内各所で見られますが、ほとんど白い花から濃いめの紫のものまで色に変異があり、この写真の花は標準からやや濃いめくらいの色合いです。
エゾノコンギクは元々北海道にある自生種ですが、これとよく似たものが外来種ユウゼンギク、しかしユウゼンギクは年により園内で見られたり見られなかったりで、今年はまだ確認していません。
ヌルデの紅葉
きれいに色づいてきました。
しかしヌルデはウルシ科で、敏感な人は触ったり近寄ったりするとかぶれる可能性があるそうで、くれぐれもお気をつけください。
コマユミの果実
先週取り上げたツリバナと同じニシキギ科の低木、コマユミも赤い果実がなっています。
園内何か所かで見られますが、多くはないです。
ナナカマドの果実
ますます深い赤になってきました。
葉っぱも色づき始めています。
次回は、2024年10月5日土曜日に上げる予定です。
旭山でのバードウォッチング、皆様が多くの野鳥を見られることを願っております。