2015年7月17日(金)、札幌市内の文化施設などを夜間に開放し市民が文化に親しむ「カルチャーナイト」が行われました。
今年で10回目、すっかり定着してきた感があります。
旭山記念公園では今年「街とチョウの超イイ関係」を行いました。
自然環境保全アドバイザーであり写真家でもある長谷川雅広さんをお迎えし、都市の公園の蝶を観察することにより、公園の植生管理のあり方を考えるという内容。
参加者11名、前半は17時から園内の蝶を観察に出ました。
ゼフィルス=ミドリシジミの仲間は夕方にも盛んに飛ぶ種類がいますが、それが目的でした。
いきなり「チョウ」違い、しかも緑の「鳥」・・・
ヤマゲラが4羽いたのでしばし観察。
巣立ち幼鳥連れ親子、ということでしょうね。
ヤマゲラは姿を見ることが珍しい、と参加された方から声が上がっていました。
でも、この日は「蝶」が主目的、まだ近くにいるところをやり過ごして蝶の観察に向かいました。
しかし、この日、おめあてのゼフィルスは高いところを飛ぶ姿を何度か見ただけ。
夏になるとゼフィルスがよくいる吊り橋も1回見ただけでした。
長谷川さんの話によれば、今年はそもそも蝶の発生が少ないとのこと。
3年前に多くの蝶が大発生した余波、サイクルの問題もあるけれど、果たしてどうしたものかと。
あまり成果のないまま引き上げ、18時15分から後半、長谷川さんの講演会。
前半はオオムラサキの話。
オオムラサキは1年で一生を終えること、冬は落ち葉の下に隠れ雪の下で越冬すること、7月に幼虫から羽化し繁殖活動を行って成虫は死ぬこと、卵は9月にかえって幼虫になる、など。
オオムラサキは市内でも局所的にしか生息しておらず、少ない数の大きな木に依存していることなど、今後に向けての問題点などが、お話の中から分かってきました。
後半はゼフィルス。
ゼフィルスの多くはミズナラやコナラなどブナ科樹木を食樹としますが、それらの樹木は昔、薪炭林として人の手で管理された「里山環境」に多く、ゼフィルスは「里山」の蝶であり、原生的な自然林には少ない種である。
人間が自然に手を加えることにより栄える種である一方、人の手が加わらなくなると数を減らしてゆく。
旭山記念公園は天然記念物である原生林の藻岩山と円山に囲まれた場所にありながら、人の手が加わった「里山環境」でもある。
旭山は旭山らしい「里山的」樹木植生管理を行うことが、生物多様性につながるのではないか。
そこをこれから、市民と行政が協働で考え、管理運営につなげてゆければ、ということで話はまとまりました。
長谷川さんのお話で、旭山記念公園の自然における「位置」が見えてきました。
長谷川さん、参加された皆様、遅くまでありがとうございました。
旭山記念公園では、「蝶を通した植生管理」について、これからも考える機会を設けてゆきます。