– 札幌のまちなみを見渡せる、自然豊かな公園 –

旭山記念公園野鳥情報2020年12月27日(日曜日)

旭山記念公園野鳥情報、2020(令和2)年12月27日日曜日

 

今年最後の野鳥情報。

ここ1週間の旭山記念公園と札幌市旭山都市環境林の野鳥の動きをまとめました。

今年最後ということで写真も多く使っています。

 

この野鳥情報は、旭山で野鳥観察をしておられる方からご提供を受けたものも含まれています。

 

 

 

◎本日の旭山野鳥観察会
本日8時より「旭山野鳥観察会」を行いました。
観察会の間に確認できた野鳥は以下の20種でした(五十音順)
アカゲラ、オオアカゲラ、カケス、キクイタダキ、キバシリ、
クマゲラ、コゲラ、ゴジュウカラ、シジュウカラ、シメ、
ツグミ、ハシブトガラ、ハシブトガラス、ハシボソガラス、ヒガラ、
ヒヨドリ、ヒレンジャク、マヒワ、ヤマガラ、猛禽1種(種不明オオタカの可能性)

今日も残念ながら観察会の間にシマエナガは見られませんでした。
キクイタダキはつり橋左岸のヨーロッパトウヒに2羽で来て、日当たりがいい枝に長くいてじっくりと観察できました。
ツグミ20~40羽、ヒレンジャク40羽、マヒワ100羽以上と、大きな群れを観察することができました。
ツグミは観察会開始前から辺りにたくさん飛んでいて、終わるまでずっと声が聞こえていました。
なお、亜種ハチジョウツグミは観察会の間には確認できませんでしたが、その後に森の家の前で1羽確認しました。
マヒワは30羽ほどがシラカンバにいたので観察していたところ、何かの拍子にいっせいに飛び立ちましたが、周りに他に見ていなかった群れがいたようで、100羽以上が飛び回る姿と声は圧巻でした。
ヒレンジャクは高いけれど見やすい位置に群れでとまっていて観察できました。
第2駐車場上でオオアカゲラとアカゲラが同じ時間に近くにいて観察できました。
クマゲラは「プルプル」と声が聞こえ見上げると上空を飛ぶ姿は確かに見られましたが、一瞬で西の山に飛んで行って見えなくなりました。

本日、観察会の時間以外に観察情報があった野鳥
イカル、イスカ、ウソ、ツグミ亜種ハチジョウツグミ、ミソサザイ、
ヤマゲラ

 

 

◎今週のシマエナガ
エナガ(亜種シマエナガ)
今週は残念ながら出ない日が多かったです。
昨日土曜日は天気がよくなかったこともあり、森の家の周りには一度も出ませんでした。
今日もこの記事を上げている13時時点でまだ一度も出ていません。
どこへ行ってしまったのでしょうか?
25日金曜日は8時前から森の家の裏に出て40分くらい滞在していましたが、それから昼までは出ませんでした。
24日木曜日は観察情報はありませんでした。
23日水曜日は栗の木デッキ付近からつり橋にかけての双子沢川沿いに昼前に出たとの情報がありました。
22日火曜日も同じ辺りに10時台に出て、朝の日の出後にも出ました。
21日月曜日は朝と昼に出たとの情報がありました。
こちらで把握している今週の情報はこんなところで、森の家南側のハリギリにも来なくなりました(森の家西側のハリギリには来ました)。
先々週はよく出たのですが、このところ出る頻度が落ちていて、今後どうなるか注意深く見守ってゆきます。

 

 

 

◎今週のトピックス
ミヤマホオジロ
12月24日木曜日、ミヤマホオジロの観察情報があり、写真も見せてもらいました。
3羽いて、トイレとつり橋の間の斜面にいたもののすぐに飛んで見えなくなったということで、それ以外の観察情報は今のところありません。
ミヤマホオジロが12月下旬に見られるのは珍しいことですが、一瞬の通過だった可能性もあります。
春は3月下旬から4月上旬に見られ、10日ほど滞在した年もありました。
ミヤマホオジロ、新たな情報があればここで取り上げます。

 

キクイタダキ
キクイタダキは1時間探すとほぼ見られるようになってきました。
今日の観察会でも出たつり橋左岸のヨーロッパトウヒと風の丘下の松がまとまって生えている辺りでよく出るため、広く歩き回るよりはその辺りで待つ方がいいかもしれません。
場所としては他にミュンヘンの森、ピクニックテラス周辺でも出ます。
キクイタダキは一度来るとすぐには逃げないため、出会えればじっくりと観察できます。
常緑松の中を動き回っており、枝がない場所や葉の裏の幹側に出たときによく見えます。

 

ハチジョウツグミ
もうかれこれひと月ほど園内での観察情報が出ていますが、ようやくここで紹介できる写真が撮れました。
12月25日、第1駐車場入口付近のナナカマドにツグミが群れで実を食べに来ており、その中に2羽のハチジョウツグミを確認しました。
写真がその時のものです。
先述の通り今日も園内で観察されています。

亜種ハチジョウツグミ2020年12月27日

 

ツグミ
今日も50羽前後の群れが見られていますが、12月下旬にこれだけいるのはここ10年ではなかったことで、今年は南下が遅れているようです。
この先寒気団が日本列島にやって来るという予報が出ており、ツグミの数も変わる(減る)かどうか、要注目です。
また昨日今日はなんだか自信なさげに「ヒョーピュルー」という感じで鳴く不完全な囀り=「ぐぜり」がちらほらと聞かれています。
写真は今週撮影したものですが、ツグミも胸からお腹の黒斑の多寡に個体差があるのが観察していると分かり、この写真の個体は黒斑が少ないものです。

ツグミ2020年12月27日

 

イカル
12月22日、イカル1羽がアーチ橋付近のポプラにとまって囀りしていました。
観察しているとこちらに気づいて藻岩山の方に飛んで行きました。
さらに今日も観察会の後に鳴きながら藻岩山の方に飛んで行く1羽を観察しましたが、まだ1羽は残っているようです。
写真はそのポプラの木にいた個体です。
このまま越冬することになるのか、要注目です。

イカル2020年12月27日

 

カワラヒワ
同じく12月22日、園内のシラカンバでカワラヒワの群れが採餌しており、数えると18羽いました。
カワラヒワは過去に何度か越冬した年もありましたが、基本的には冬の間は旭山では見られません。
また過去に越冬した時も3、4羽で、そもそも旭山でカワラヒワが10羽以上の群れで見られることが珍しく、今年はいつもと様相が違います。
ただ、その翌日以降は観察情報がなく、もう移動していなくなったのか、もう少し様子を見ます。
写真は12月22日のカワラヒワの群れです。

カワラヒワ2020年12月27日

 

 

◎冬の鳥情報
ヒレンジャク、キレンジャク
ヒレンジャクはまだ50羽前後が見られています。
100羽以上いた頃よりは減りましたが、それでも12月下旬で50羽前後見られるというのは少なくとも過去10年にはなかったことです。
昨日今日は50羽前後で飛んでいることもあれば、8羽くらいの小さな群れだったり、20羽くらいだったりと一度に見られる数はその時によって違います。
ナナカマドの実を食べに来ていますが、警戒心が強く、人があまり近寄れない場所の木だったり、人が来るとすぐ逃げたりで近くでの観察や撮影の機会は運とタイミングによります。
ヒレンジャクは例年1月中旬まで見られますが、今年はどうなるでしょうか。

 

キレンジャクは今日は確認できず、ここ数日も確かな観察情報はありませんが、探せば見つかるかもしれません。

 

マヒワ
先述の通り今日も100羽以上が飛んでいましたが、数日前には200羽以上と思われるもっと大きな群れが見られました。
マヒワも、少なくともここ10年ではせいぜい30羽くらいの群れでしたが、100羽も見られるというのはなかったことです。
マヒワ、ヒレンジャク、ツグミそして数は少ないけれどカワラヒワなど、この冬は今までになく数が多い群れが見られており、種に関係なく鳥全体としてたとえば餌が少ないとか温暖だったりとかで南下が遅れている可能性があります。
この先どのように数が変わるか、要注目です。
マヒワは声を出さずにシラカンバの高い位置で採餌していることがよくあり、今日の観察会でもよく見るといたということがあって、シラカンバかカラマツの高い位置を探すと見つかることがよくあります。
写真は飛んでいるマヒワとシラカンバで採餌するマヒワです。

マヒワ2020年12月27日1

マヒワ2020年12月27日2

 

ベニヒワ
ときどき20羽前後の群れで飛んでいるのが見られますが、マヒワの群れに混じって行動している個体もいます。
写真がそれで、マヒワ20羽ほどの群れの中に赤丸で囲んだ雄と雌1羽ずつ2羽のベニヒワが入っていました。

ベニヒワ2020年12月27日

 

イスカ
日に何度か飛んでいるのが見られますが、だいたい1羽から3羽で、相変わらず低い位置にはほとんど降りてこないです。
そろそろ近くで見たいのですが。

 

ウソ
ウソも主に西側で声を聞くことが結構ありますが、撮影できるほど低い位置にはなかなか来てくれません。
この先どうなるか。

 

シメ
今日の観察会では3羽が近くの木に飛んで来ましたが、やはりというか警戒心が強く、すぐに飛んで逃げてしまいました。
シメも見られる頻度は低くないですが、このところせいぜい3羽といった感じです。

 

キバシリ
森の家から旭山都市環境林にかけての辺りで時々見られます。

 

ミソサザイ
昨日つり橋左岸側で2羽同時に確認できましたが、森の家の周りにはここ数日はほとんど来ていないようです。
「ジッ ジッジッジッ」という声は分かりやすく、声が聞こえたら探すと低い位置で見られますが、動きが速くて観察や撮影はちょっとばかり大変かもしれません。

 

コガラ
今週は確かな観察情報はありませんでした。

 

カケス
2、3羽が園内で時々見られており、第2駐車場上付近とつり橋から学びの森にかけての辺りでよく見られます。
写真は今週撮影したもので、ニセアカシアの種子(豆)を食べていました。

カケス2020年12月27日

 

 

 

 

◎留鳥その他情報
クマゲラ
今週もほぼ毎日園内での観察情報があり、昨日はつり橋周辺でじっくりと観察できたとの情報がありました。
クマゲラはこの先も当面その日にならないと分からない、運やタイミングで見られたり見られなかったりです。

【2020年12月27日 追加情報】
ホームページを上げてから、森の家の近くにクマゲラ雌の個体が飛んで来て撮影することができました。

クマゲラ2020年12月27日雌

 

オオアカゲラ
今日の観察会では雌の個体が見られましたが、昨日、珍しく雄の個体がつり橋周辺で見られました。
写真がその時のものです。
オオアカゲラは(なぜか)雌が見られることが多く、雄は少ないです。

オオアカゲラ2020年12月27日雄

 

アカゲラ
今週もよく見られています。
写真は第1駐車場入口付近で撮影した雌の個体です。

アカゲラ2020年12月27日雌

 

コゲラ
観察機会は多いです。

 

ヤマゲラ
ときどき観察されていますが、今週は近くでの観察・撮影情報はありませんでした。

 

フクロウ
今週は園内での観察情報はありませんでした。

 

オオタカ
今週も観察情報がありました。

 

ハイタカ
今週も観察情報がありました。

 

ノスリ
今週も観察情報がありました。

 

トビ
今週は観察情報はありませんでした。

 

オジロワシ、オオワシ
オジロワシは数日前に上空高い所を南から北に飛ぶ姿が観察されましたが、双眼鏡で見たところ足に魚を捕まえているように見えました。
写真がその時のもので、この大きさでは分からないですが、オリジナル写真を拡大すると銀色の魚(フナ?)を捕まえているのが分かりました。
なお、この時は餌を捕まえることができてもう他には用がなかったのか、高い位置で羽ばたきながら一目散にまっすぐ飛んで行きました。

オジロワシ2020年12月27日

オオワシは今週は観察情報はありませんでした。

 

ゴジュウカラ
園内でよく見られ、「テュッテュッ」という声も比較的遠くからでも聞こえてきますが、「フィー」もしくは「フィッフィッ」という囀りはまだ本格化していないようで聞く機会は少ないです。

 

シジュウカラ
園内でよく見られています。
写真はカラマツの松ぼっくりに来た個体ですが、背中のオリーブ色がきれいに見えました。

シジュウカラ2020年12月27日

 

ハシブトガラ
園内でよく見られています。

 

ヤマガラ
観察機会は多いです。

 

ヒガラ
園内でよく見られており、囀りも聞く機会が多くなってきました。

 

ハクセキレイ
今週も確かな観察情報はありませんでした。

 

ヒヨドリ
園内でよく見られています。

 

ハシブトガラス、ハシボソガラス
園内でよく見られています。

 

スズメ
道路沿いや第2駐車場付近で時々見られますが、それ以外の場所ではめったに見ることはありません。

 

 

 

 

◎クマタカは「ワシ」だった・・・!?・・・ワシとタカについて
「世界で一番美しい鷲の図鑑」という書籍(写真集)を読みました。

世界で一番美しい鷲の図鑑2020年12月27日

こちらがそれ。
その名の通り世界の「ワシ」の仲間をすべて集めて素晴らしい写真とともに紹介する本です。
日本で定常的に見られる「ワシ」と名がつく鳥は以下の4種です。
オジロワシ(主に北海道で繁殖の他冬鳥としても北方から飛来)
オオワシ(冬鳥として北方から飛来、繁殖記録はない)
イヌワシ(本州以南の山岳地帯で繁殖、北海道でも繁殖の可能性)
カンムリワシ(沖縄県西表島などに生息)

しかし、この本には、北海道にも生息する「クマタカ」をはじめとした「クマタカ属」も取り上げられています。
この本で「ワシ」とされている鳥は、国際環境NGO「バードライフ・インターナショナル」により「ワシ」であると認められているすべての鳥であり、「クマタカ(属)」はそれに含まれる、ということです。
なお、日本で「ハゲワシ」と名前がついているものについてはここでは取り上げられていません。

そもそも「ワシ」と「タカ」の違いは?
少なくともどちらも同じ「タカ目タカ科」で、生物学的にみれば違いはありません。
大きさの違いというのが一般的に認識されていることでしょうけれど、その実、日本においてはこれはもう昔からそう呼ばれていたものが標準和名になって分けられてしまった、としかいいようがないでしょう。
事実、日本でいちばん小さいカンムリワシは、「タカ」と名がつく日本最大のクマタカよりも小さく、オオタカよりも一回り大きい程度です。
また、トビ、ノスリ、チュウヒのようにタカ科で「ワシ」とも「タカ」ともつかない鳥もいますが、これらは「タカ類」と呼ばれています。
英語でもそれぞれ別の名前があり、トビは”kite”=カイト(凧のこともいう)、ノスリは”buzzard”=バザード、チュウヒは”harrier”=ハリアー(トヨタの車名にある)です。
なお、ミサゴはかつてタカ科に分類されていましたが、今ではミサゴ科として独立しています。
話は逸れましたが、「ワシ」と「タカ」の違いはあくまでも人間側から見たものにすぎません。
余談ですが、「クジラ」と「イルカ」は大きさで明確に分けられています。

ただし、「クマタカ」については英語圏の人でも迷ったようで、その証拠に英語では”hawk-eagle”=「タカのようなワシ」と名がつけられています。
これは、クマタカが森の中で生活していて、海や草原など広い場所で活動する「ワシ」よりは「タカ」にイメージが近い、ということなのでしょう。
一方で、大きくて堂々と飛ぶクマタカには「ワシ」のイメージもあります。
クマタカが「ワシ」であるのであれば、カンムリワシとクマタカの「ワシとタカの大きさの逆転」が解消されることにもなります。

いずれにせよ、日本にいる「ワシ」が1種類増えた、しかもそれが旭山でも時々見られる、ということになるのでしょうか。
写真は3年前に旭山に現れたクマタカで、雄と雌2羽で現れました。

クマタカ2020年12月27日

本のお話をしたので、もう1冊紹介します。
「クマタカの四季」 坪川正巳 文芸社
北海道のクマタカを20年以上にわたって観察・撮影した記録をまとめたもので、読み物としても興味深い1冊です。

クマタカの四季2020年12月27日

でもやっぱり、クマタカは「タカ」だからいいのでしょう。
「クマワシ」だとなんだかちょっとばかりひ弱そうに感じられてしまいます。
ちなみにクマタカは、「熊鷹」と書いて大きい生き物を象徴する熊のように大きな鷹という意味と、「角鷹」と書いて角(つの)のような冠羽がある鷹と、名前の由来が2説あります。

以上、クマタカのお話でした。

 

 

旭山記念公園野鳥情報、今年は今回が最後です。
お付き合いいただきありがとうございました。

 

2021年は1月9日(土曜日)から再開しますが、それまでに何か大きな動きがあれば記事にすることもあるかもしれません。

 

旭山でのバードウォッチング、皆様が多く見られることを願っております。

そしてよいお年を。