旭山記念公園野鳥情報、2020(令和2)年10月31日土曜日
ここ1週間の旭山記念公園と札幌市旭山都市環境林の野鳥の動きをまとめました。
この野鳥情報は、旭山で野鳥観察をしておられる方からご提供を受けたものも含まれています。
◎今週のトピックス
ヒレンジャク
10月26日、この秋初めてヒレンジャクの園内での観察情報がありました。
今日はミュンヘンの森のハルニレについているアカミヤドリギ(ヤドリギ)の実を食べに来ていました。
写真はその時のものです。
ヒレンジャクは例年1月中旬頃まで旭山で見られますが、この冬はどうでしょうか。
なお、キレンジャクの情報はまだ今のところ入っていないですが、旭山ではヒレンジャクは毎年必ず見られる一方、キレンジャクは出方が年により違います。
ルリビタキ
10月26日、ルリビタキがこの秋初めて旭山で観察されました。
雄2羽雌1羽との情報もありましたが、全体でどれだけいたかは不明です。
ただ、旭山では例年秋の通過は短期間であることが多く、今年も10月28日水曜日以降は観察情報がありません。
まだ見られるかどうかについても分からないですが、11月下旬までいた年もあるので、可能性はあるとは思います。
写真は10月26にちに森の家の横で撮影した雄ですが、とてもきれいな個体でした。
ベニヒワ
本日10月31日、ベニヒワをこの秋初めて旭山で確認しました。
15羽前後の群れで森の家上空を北から飛んで来て藻岩山方面に向かっていました。
ベニヒワは越冬する年は3月までよく見られますが、越冬しない年は10月から12月の間に散発的に見られるだけです。
この冬はどうなるでしょうか。
イスカ
先週のこの秋初認以降3回上空を飛んでいるのを確認し、1回は森の家の真上で目視できる高さで飛んでいましたが、木にとまったところはまだ今年は観察していません。
イスカは越冬する年もありますが、旭山では秋と春にそれぞれ数回通過という観察事例が多いです。
この冬はどうなるでしょうか。
カシラダカ
10月27日、カシラダカ数羽をこの秋初めて観察しました。
写真はその時のもので、展望台北西側法面に立っているハリギリの実を食べに来ていました。
なお、カシラダカは2016年から国際的に絶滅危惧種の「危急種(VU)」に指定されており、世界的に数が減っているもようです。
キバシリ
10月26日に旭山ではこの秋初めて観察されました。
今のところ森の家と風の丘を結ぶ線より西側だけで出ていますが、この先は遊具広場方面にも出るようになるかもしれません。
ミソサザイ
ミソサザイもこの秋初めて園内で観察されました。
まだ情報は多くないですが、双子沢川べりと森の家の周りそして遊具広場の森で見られる機会が多くなることが予想されます。
◎今週のシマエナガ
エナガ(亜種シマエナガ)
今週もほぼ毎日観察情報がありますが、7時台に見られることが多いようで、また、8時から9時半の間に森の家の周りに1回は出ています。
昨日と27日には16時頃に森の家の前に出ましたが、その頃はもう暗くて撮影には条件はよくないです。
シジュウカラとハシブトガラを中心としたカラ類混群に入って一緒に行動している個体が2羽から4羽ほどいるもようで、カラ類の声が周りに増えてきたなと思ったら探せば見られることがあります。
一方、シマエナガだけの10羽前後の群れもあり、それが森の家の周りで1日に数回出ています。
木々の葉も落ちて来てそろそろシマエナガの観察・撮影には条件がよくなってきていますが、一方で色づいた木々の葉とシマエナガを撮影するのであればあと1週間から10日が勝負になります。
◎夏鳥・旅鳥情報
ウグイス
10月26日に森の家西側の沢に10羽かそれ以上が集まってあちこちから「ヂッ ヂッ」という声が聞こえていました。
南に渡るために集まっているのかと思いましたが、以降もウグイスは観察されていて、今日もまだいました。
写真は26日に撮影したものです。
なお、ミソサザイの「ジッジッジッ」という鳴き声がウグイスと似ているので、ウグイスがいなくなるまでは注意が必要です。
メジロ
今日もまだ森の家の周りで観察し、昨日は囀りもしていました。
ウグイスともども、いつまで見られるでしょうか、もう来週はいないかもしれません。
アオジ
先週は22日以降は見られなかったと書きましたが、28日に2羽を園内で確認しました。
しかしそれ以降はまた情報がなく、28日のものは渡りに遅れた部隊かもしれません。
もう少し様子を見ます。
ホオジロ
今週も観察情報はなかったですが、旭山ではもう見られない可能性が高く、もう少し様子を見て観察情報がなければここでは触れないことにします(また来年)。
カワラヒワ
今朝も10羽前後の群れが園内で観察されましたが、これでもう3週間滞在していることになり、旭山では今までこのようなことはなかったです。
カワラヒワは旭山で越冬したことがあるので、この先いつまで見られるのか、まったく読めません。
イカル
今週は27日に観察情報がありましたが、それ以降は情報がありません。
もう少し様子を見ます。
ベニマシコ
今日も観察情報がありましたが、例年であればそろそろいなくなる頃です。
モズ
今週は学びの森で観察されたとの情報がありました。
モズは年を越して1月に見られたこともあり、この先どうなるかは分かりません。
キジバト
昨日森の家上空を飛んでいましたが、キジバトはそろそろ南に渡っていなくなる頃です。
アオバト
先週は観察情報がありましたが、今週は情報がなく、そろそろいなくなったかもしれません。
マミチャジナイ
本日も撮影したという方のお話があり、まだ滞在しているようです。
マミチャジナイは11月中旬まで観察された年も過去にあり、まだもう少し見られる可能性があります。
なお、シロハラは今週確かな観察情報はありませんでした。
◎留鳥・冬の鳥情報
クマゲラ
今週も園内でも観察されており、一度は森の家の裏ですぐ近くで見られたとの情報でしたが、この1週間は藻岩山のやや遠くから声が聞こえてくる日が多かったです。
今はクマゲラの行動パターンが変わって旭山に来るのを待っている、そんな感じでしょうか。
オオアカゲラ
今週も園内での観察情報がありましたが、この先見られる機会が多くなると思われます。
写真は今週撮影した雌の個体です。
オオアカゲラはこのようにシラカンバに来ることがよくあり、木をつついたり木の樹皮をはがす音や「キョッ」という声(アカゲラとの識別は困難ですが)が聞えたら、辺りのシラカンバから探してゆくと見つかりやすいかもしれません。
アカゲラ
今週もよく見られています。
コゲラ
見られる機会は多いです。
ヤマゲラ
今週も園内での観察情報があり、今朝も近くで見たと情報がありました。
「ピョッピョッピョッ」という声もほぼ毎日聞こえてきます。
この秋ヤマゲラは例年より多く見られています。
キクイタダキ
今週は園内での観察情報が幾つかありましたが、まだ頻繁に来ているという感じではありません。
カケス(亜種ミヤマカケス)
今週もよく見られています。
ミズナラのどんぐりを食べによく来ますが、今年は全体としてはミズナラのどんぐりのなりがあまりよくなく、園内では特定の数本だけにそこそこなったという感じで、カケスもその数本の木によく来ています
写真は今週撮影したもので、どんぐりの殻をとって中身を食べているところです。
ツグミ
今週も何度か観察されていますが、やはりまだ上空を飛ぶ姿ばかりで園内の低い位置で見たという情報はほぼないです。
例年であればそろそろ近くで観察できるようになってきます、と先週も書きましたが、まだです。
シメ
園内で観察されており、一度数が減ったかと思われましたが、昨日からまた数羽で飛ぶ姿が見られるようになってきました。
ただ、警戒心がとても強く、近くで見る機会は少ないです。
マヒワ
今週も日に何度か飛ぶ姿が見られていましたが、1羽だけの時と数羽の群れの時がありました。
ただ、なかなか木にとまってくれず、とまったとしても高い位置なので、今のところ観察は少々難しいです。
オオタカ
今週も観察情報がありました。
ハイタカ
今週も観察情報がありました。
ノスリ
今週も観察されており、今朝は森の家の近くを1羽が飛んでいました。
トビ
今週は観察情報はありませんでした。
ゴジュウカラ
園内でよく見られています。
シジュウカラ
観察機会は多いです。
ハシブトガラ
園内でよく見られています。
写真は今週撮影したものです。
ヤマガラ
園内でよく見られていますが、第1駐車場入口付近にあるイチイ(オンコ)の実を食べに時々来ていて、その際には近くで観察できます。
また、学びの森と森の家の周りにもよく出ますが、やはりまだカラ類混群には入らずヤマガラだけで行動していることが多いようです。
ヒガラ
園内でよく見られており、今週もまだ囀りを聞くことがありましたが頻度はかなり低くなりました。
ハクセキレイ
噴水広場付近で時々見られますが、頻度が低くなってきました。
ハシブトガラス
今年は10羽から20羽で飛ぶ姿がよく見られています。
ハシボソガラス
園内でよく見られており、森の家の前にもよく飛んで来ています。
スズメ
道路沿いや第2駐車場付近で時々見られますが、それ以外の場所ではめったに見ることはありません。
◎エゾシカの鳴き声
奥山に紅葉踏み分け鳴く鹿のこゑ聞く時ぞ秋は悲しき
猿丸太夫
古今和歌集に収められ、小倉百人一首でもとられているこの和歌はあまりにも有名ですが、旭山でもこの秋、エゾシカの鳴き声を聞くことがあります。
聞いたことありますか?
「ビョーーッ」というような大きくて甲高い声を長く伸ばして鳴きますが、これは雄が雌にアピールしたり他の雄に対して主張するために鳴くものです。
また雌雄限らず「キョッ」という短く甲高い声でも鳴きます。
上記の和歌は「秋に鹿の声を聞くと悲しくなる」という意味ですが、エゾシカの鳴き声はそのものが悲しい響きにも聞こえます。
この秋、旭山で今まであまり聞いたことがない大きな音が聞えたら、それはエゾシカの鳴き声です。
※和歌に詠まれているのは本州の亜種ニホンジカですが、エゾシカと基本的には同じです。
◎ヒグマに注意
今週、藻岩山T6分岐点付近でヒグマの目撃情報がありました。
旭山にも来ないとは限らないため、散策や自然観察の際、特に早朝にはじゅうぶんお気をつけください。
次回は11月7日に上げる予定です。
旭山でのバードウォッチング、皆様が多く見られることを願っております。