海の下には・・・?

皆様コンニチハ!
この度はちょっと珍しい(?)写真をご覧いただきたく、UPします。
中島公園の中の日本庭園をご存知ですか?
日本庭園には四阿(あずまや)があり、その露地というか、すぐ脇に蹲踞(つくばい)があります。
蹲踞には定番のセット、手水鉢(ちょうずばち)、筧(かけひ)、灯篭があります。

手水鉢から柄杓(ひしゃく)で水を汲み、手や口をすすぐ、所謂、洗面台みたいなものと言えるでしょうか。
手水鉢の周りは那智石の砂利が敷かれており、手にかけた水はそこに流すようにすると、着物が濡れません。
また、掘り下げられていて、しぶきが跳ねて着物にかかるのを防ぐ構造になっています。
この、掘り下げられた部分を【海】と呼びます。
さて、この海の下には何があるかと申しますと、水琴窟(すいきんくつ)です。
先日この水琴窟をお掃除しましたので、その模様をご報告します♪
 
先に水琴窟の仕組みを簡単にご紹介します。
(ラクガキで恐縮ですが)横から見た断面図です。
 

 
筧から手水鉢に水が注がれ、鉢からあふれた水は海へ流れ落ちます。
また、手を洗った水も海へ流れ、海の下に逆さまに仕込んだカメの中へ落ちていきます。
カメの中には水盤が置いてあり、うっすらと溜まった水面に雫がポチョンと落ちると、カメの中で音が響いて、地上にいる私たちには「キン」とか「カン」という音が聞こえてきます。
 
長い年月を経ると、カメの中や周り、海に敷いた砂利の隙間などに細かいゴミや泥が溜まり、音が鈍くなります。
そこで、今回はこれらを掘り出し大掃除を行ったわけです。
まずは手水鉢をずらして海の砂利、カメの周りの栗石を取り出します。
隙間にはけっこう泥や草の根が入り込んでいました。
 

 
砂利、石をきれいに洗います。
 

 
カメの下に据えられた水盤の中にも周りにもけっこう泥がたまっていました。
 

 
取り出したカメです。「水琴窟」と書いてあります。このためにあつらえたものなんですね。
 

 
水盤もきれいに洗い、再設置にとりかかります。
 

 
金網のフィルタも洗いました。
 

 
カメを据えて栗石を周りに詰めます。
 

 
手水鉢を元の位置に戻し、海に砂利を敷き均します。
 

 
筧を設置して、水琴窟の真上に積石を置いて完成!
 

 
さて、問題はこの筧・・・。
筧から手水鉢に水が流れる際に、「チョロチョロ」と音がします。
夏などは水の流れる音が風流ではあろうかと思いますが、いかんせん、この音が余り大きいと水琴窟の音が聞き取れません。
そこで、基本的には筧からの水を止めてあります。
ずっと止めっぱなしでは水鉢の水がよどんでしまいますので、時々流します。
どれぐらいのタイミングで流すか、これから試行錯誤してみます。
 
また、徒歩圏内に北海道一の繁華街があり、公園内には多様な施設があって賑わいます。
風で揺れる木々、さえずる鳥たち・・・・様々な音があふれる場所ですから、耳を澄まさなければ水琴窟サウンドは聞こえません。
ご利用の際は、前石の上にしゃがんで、手水鉢の前に積んだ石を狙って柄杓で水を流し、しばしじっと耳を澄ましてください。
あまり大量に流すと「カンカンカンカン・・・」と、侘びも寂びも薄らいでしまいますので、そーっと優しく注いであげてください^^
 
尚、本来は口をすすいだりする目的の設備ではありますが、ここでは観賞用としてご利用いただいております。
飲用されませんようお願いいたします。
 
 

 
(柄杓は孟宗竹の廃材を使って作りました♪)
 
実は、水琴窟の中をのぞいたのは自分も初めてで、とても貴重な経験ができました。
是非、皆様も神秘的な(?)音を楽しみにお越しくださいネ!^^
 
(西宗)

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