朝晩は風が冷たく感じるようになりました。豊平公園でもナナカマドやマユミの実に色がつき、少しずつ秋が深まっているようです。一方で日中は暖かく、外でお散歩にはもってこいなお天気が続いています。
台風や震災で被害にあわれた皆さんも少しずついつもの生活へ戻っていけていることをお祈りしております。
そんな中ですが、緑のセンターでは明日9月22日土曜日より「おもと秋季展」が始まります。
「おもと秋季展」
9月22日土曜日から24日月曜祝日まで緑のセンターの1階アトリウムにて、「おもと秋季展」を開催します。日本おもと協会北海道支部の皆さんの栽培品、123点が勢揃い。
この展示会は日本おもと協会北海道支部が開催してきた「おもと名品展」として数えると第22回目となります。
春にも展示会は行われているのですが、秋は夏の間大切に育ててきたおもとたちのなかから姿形が良く、美しい斑が入ったものを選び作品として出品するコンテスト形式です。
123鉢の中の一番である”おもと協会 会長賞”を受賞したのはこちら。
「美恵錦」天野登さんの作品です。
美しく左右に展開している葉には綺麗な斑が入り、優美な雰囲気。
おもとは他の植物と異なり、鑑賞価値は葉の形や色にあるという、他に見ない珍しい園芸文化を持ちます。
この斑の入り方や葉がくるくるうねるもの、シュッとたつものなど、変化に富む葉を楽しみ、品種改良を重ねてきた歴史は江戸時代から続き、日本の古典園芸の一つとして、他の園芸植物にも影響を与えてきました。
葉の特徴を表す’芸’と呼ばれる表現は他の植物でも流用されており、模様を表す覆輪(ふくりん)、斑(ふ)、虎斑(とらふ)といった言葉は聞いたことがあるのではないでしょうか。
上の2枚の写真を見ても、同じ葉の姿や模様のおもとは見当たりませんよね。
現在登録されているだけでも1,000種を超えると言われています。
↑上のおもとは大葉系「薩摩富士」。大きな葉の中心から付け根にかけて黄色の斑が入っています。
↑上のおもと「銀月」は太い部分でも幅1cmほどの細い葉で、葉の中心が白、覆輪のように緑の色が縁に残っています。ちょっと変わった雰囲気で、おもとのイメージにない姿ですね。
↑この上のおもとは「海竜獅子」。羅紗系の中でもはがくるくるうねるタイプのおもとで、このタイプの品種名には”獅子”とつくものが多いそうです。
江戸時代を代表する文化の一つ「おもと」
江戸時代でも当初は大名や富裕層のみが楽しむ植物だったようですが、文化文政の頃には庶民にまで広がり、一世を風靡した頃は一鉢で屋敷が購入できるほどの金額で取引されたおもともあるそうで、この人気は江戸の文化の象徴といえるでしょう。
展示しているおもとが植え込まれている足のついた長く美しい絵が施された「錦鉢」。おもとの美しさを引き立てる重要な役目を持ちますが、それ自体も芸術品として扱われています。
現代でも、おもと(オモト・万年青)は一年を通して緑の葉を保つことから、吉祥のシンボルとしてお祝い事の贈り物やお正月に花を付けたおもとを飾る風習が本州では続いているそうです。本州以西では越冬するおもとは本州の方たちにはとても身近な植物の一つなのですね。
北海道では路地では越冬できないせいか、南国の植物のように考えてしまいがちですが、存外、暑さにも寒さ(しばれには弱いですが)にも強い植物です。
展示会期間中、会場ではおもとの苗の販売もしており、育て方などの説明もしてくれますし、おもとの中でもなかなか流通しない品種や育てるときに便利な小物なども販売しています。
この機会にぜひ展示している優美で日本の園芸文化の象徴であるおもとの世界をごらんください。
「おもと秋季展」
9月22日土曜日から24日月曜祝日まで(最終日24日は15時まで)
なお、2階ミーティングルーム・ホールでは
「あけび・籐作品展~自然からの贈り物(くらしの中のかごつくり)~」を開催しています。
こちらも9月24日月曜祝日まで(最終日24日は16時まで)です。
手作りの世界と古典園芸の展示会をお楽しみください。
アクセス
豊平公園は地下鉄駅の目の前で非常に便利です。ぜひ公共交通機関をご利用ください。
・地下鉄東豊線「豊平公園駅」1番出口を出てすぐ左 徒歩1分。
・バス 「豊平3条12丁目」下車 徒歩約7分
※36号線沿いにあるバス停からは直接公園が見えませんのでご注意ください。
お問い合わせ先
豊平公園緑のセンター
札幌市豊平区豊平5条13丁目
開館時間:8:45~17:15
休館日:月曜日(月曜祝日の場合は翌平日)及び12/29~1/3
電話:011-811-6568














