5月半ばになり、園内のほとんどの樹木に新芽が芽吹き、空に映る風景の色もすっかり変わってきました。そんな中、明日5月11日金曜日より「春の風流盆栽展」が始まります。
「春の風流盆栽展」

この展示会は風流盆栽会の皆さんの作品で、それぞれゆったり目の15席の席飾りで展示されています。手のひらに乗るようなサイズの小さな盆栽から持つのが重そうな大きさの盆栽まで、松柏類や季節の花の盆栽が飾られています。中でも季節ならではといえば、ツツジやボケ、サクラといった花木、カラマツソウやコザクラなどの草花が展示されています。
ちょっと詳しく
毎年、盆栽系の展示会のなかで春一番に開催される「春の風流盆栽展」。ほぼ毎年何かのサクラが展示されており、今年のサクラは”チシマザクラ”。

白い花が咲くチシマザクラ。7分咲きくらいでしょうか。壁が白く花が目立たないので花のアップの写真を。

チシマザクラのアップ。縁にほんのり薄いピンク色がさしますが、ほぼ白い花です。育てた会長さんは展示会に合わせて少し暖かい場所に置いたせいか、葉がずいぶん出ちゃった、とのこと。でも、白い花が赤みのある緑の新葉に映えるのでむしろきれいですよね。
このほか、神(ジン)や舎利(シャリ)の入った松柏類も奥に展示されていますが、会場に入ったとたんに目を引きます。
神(ジン)と舎利(シャリ)
神(ジン)や舎利(シャリ)は簡単に説明すると盆栽の枝や幹が枯れて白くなっていることをいいます。神は枝、舎利は幹が白くなっている状態だそうです。といっても盆栽ではこの状態を作っているそうで、思うように作ることはとても難しいそう。なんと言ってもこの白い部分は枝や幹としては死んだ部分。枝先に葉をつけて盆栽として育てるには、生きた部分が残っていないといけません。自然の環境でも神や舎利はできるそうなので、作りこめる松柏類は生命力にあふれていることがわかります。

上の写真はシャリが入った盆栽の一席ですが、鉢から出る幹も葉が出ている枝の上も白くなっているので、シャリとジンの両方がはいっているシンパク、となるのでしょうか。見えている幹も枝も真っ白なので、葉の出ているところの奥はどうなっているのかと近寄ってみると・・・

不思議な形容のシンパクのアップ。中で枝がぐるっと回転して針金がかけられている様子が見えます。この枝から葉が出ているということはこの枝は生きているのですね。すごいなぁ。
盆栽の席なのに!
風流盆栽会の展示会は時々「お。」と思うものが席飾りの中に組み込まれていますが、今年は・・・コレ。

水盤がある一席。水を張った白い水盤に浮き草と火山岩っぽい石と、なぜか黒い点々が見えます。
しかも動いているのです。
ちょっとアップにしてみましょう。

このフォルム、なんとオタマジャクシなんです。苦手な方にはごめんなさい。
でも、この席、この水盤がメインのようです。盆栽そのものではありませんが、里の風景を模して展示しているとされる席飾りでは水盤は池や水を想像させますが、生き物まで表現するって。それにオタマジャクシも今の季節ならで葉ですよね。伝統と個性が一緒に楽しめる、そんな展示会です。
ちなみに展示会期間は3日間なので、カエルちゃんになって逃げることはありません。

小品だけの一席もあります。小品の盆栽は、大きくなろうとする木や草ものを小さく育て、花を咲かせるには、ものすごく手間がかかるそうです。剪定したり、株分けもそうですが、小さいと土の乾燥も早い。水やりは毎日欠かせないです。箱飾りの下段にある黄色い花はレンギョウ。一つの花の大きさは普通のレンギョウと同じくらいですが、この一席の中では鉢が一番小さく、その姿にびっくりしました。
また、こういった席は飾り棚も見ていただきたいです。手作りのものもあるそうですが、側面にも格子の入った窓があったり、引き出しのような部分にも模様が入っていたりと非常に細やか。それでいて盆栽を乗せておけるだけの丈夫さもあるのです。ついたての細やかさにいたってはため息ものです。このあたりもぜひご覧ください。
「春の風流盆栽展」
「春の風流盆栽展」は
5月11日金曜日~5月13日日曜(最終日は15時まで)
緑のセンター 2階講義室 にて
開催します。伝統ある盆栽の世界と季節を楽しめる展示品をお楽しみください。
アクセス
豊平公園は地下鉄駅の目の前で非常に便利です。ぜひ公共交通機関をご利用ください。
・地下鉄東豊線「豊平公園駅」1番出口を出てすぐ左 徒歩1分。
・バス 「豊平3条12丁目」下車 徒歩約7分
※36号線沿いにあるバス停からは直接公園が見えませんのでご注意ください。
お問い合わせ先
豊平公園緑のセンター
札幌市豊平区豊平5条13丁目
開館時間:8:45~17:15
休館日:月曜日(月曜祝日の場合は翌平日)及び12/29~1/3
電話:011-811-6568






