湿原の乾燥化に対する取り組み

水路づくり

西岡公園の湿原ではここ数年、木道下にできた川に水があつまり、湿原表面が乾燥化する現象が起きています。
平成22年、23年度に矢部和夫教授(札幌市立大学)が行った湿原の調査において、
木道の存在が湿原の乾燥化に影響を及ぼしている可能性があることがわかりました。
そして、網状流が湿原表面全体を流れるための対策として
「木道流路を閉鎖し、できるだけ網状流に近い流れを復元すること」
「ヤナギ林を一部除伐し、湿生草原の拡大を図ること」などが提案されました。
西岡公園管理事務所では、専門家の方々や札幌市、ボランティアと協働で、
今年度よりこれらの取り組みを進めています。

今日の作業では、東側の木道下の川に2箇所土のうを積み、水を拡散させる作業を行いました。
土のう積み

湿原上流部の川砂を土のう袋につめて、木道の下を流れる川に積みました。
川の流れ方を見ながら、川が西側に向かうように積んでいきますが、
水の流れは予想以上に強く、なかなか大変な作業でした。

作業終了

↑作業終了後がこちらです。
西側に水道を少し掘ったこともあり、木道下を流れる水が西側(写真は右が西になります)にも流れるようになりました。
作業前と作業後の水深や川幅を比べると、堰を作った地点より下流は約10cmほど水深が下がりました。
今年度の大きな作業はこれで終了ですが、少しずつ湿原本来の網状流を復元できるように、経年で作業を続けていきたいと考えています。
これからは、大雨や雪解け後の増水で少しずつ川の流れが変わり、いずれ植物や生き物にも変化が現れてくると思います。
西岡公園で活動するヤンマ団やさかな組、植物の会などの調査でも経過観察を続けていきますが、湿原を利用するみんなで、湿原の環境の変化を観察していきたいですね!

今回の作業は公園のスタッフのほかに、ボランティアの皆さま、利用者調査をしてくれている北海道大学農学部愛甲先生の研究室の学生さん、豊平区土木センターなど沢山の方々に協力していただきました。
本当にありがとうございました!