【団体紹介】あるば・ローズ
空を仰ぐようにして踊る3人の女性の像と、その像をぐるりと囲むようにして設置されている円形の花壇。札幌市民にとってはなじみが深く、訪れる観光客を楽しませてくれる大通公園西3丁目のこの風景は、長い年月と、さまざまな人の手を経て、つちかわれてきました。
大通公園に彫刻を、というニッカウヰスキーの竹鶴政孝氏の発案を受けて、札幌出身の彫刻家・本郷新氏が天と地を結ぶイメージでつくった泉の像が設置されたのが1959年。
花壇は、札幌にゆかりのある企業がスポンサーとなって、植栽する花苗を提供するなどして、支えられてきました。
その花壇への今春初の植栽が、去る4月22日、2010年3月に立ち上がったばかりのボランティア団体「あるば・ローズ」のメンバー18名によって行なわれました。(植込みの様子はこちら)
代表の渋谷邦子さんが、この花壇に携わるようになったのは、「あるば・ローズ」が発足する約2年半前の2007年8月。
当時勤めていたニッセイに、社会貢献事業の一環として、花壇のスポンサーになることを提案したのがきっかけでした。地域の活性化と、市民の憩いの場づくりが目的です。それ以前からニッセイが市民向けに行なう花関連のセミナーで活躍していた渋谷さんの願いが通じ、提案は受理され、渋谷さんは会社の人や知人などに声をかけて、花壇づくりに取り組むことになりました。
以来、花壇には、20本の白バラを中心に、チューリップやラベンダー、パンジー、ブルーサルビアなどたくさんの種類の花が植えられ、季節ごとにさまざまな彩りが楽しめるようになりました。
しかし、花壇づくりを継続的に担う団体は設けておらず、年に数回の植込みの時は10名以上の人が集まって作業をしていましたが、花がら摘みや草取りなどのメンテナンスは少人数で行ない、時には渋谷さん一人でということもありました。見るに見かねた知人が手伝いを買って出てくれるということもあったそうです。
朝は9時前から夜は8時すぎまで仕事をすることも普通だったという渋谷さんは、8年ほど前から自宅でもバラを育て、オープンガーデンもしています。忙しい合間をぬっての活動は「楽しいし、好きだから続けてこられた」そうです。
2009年の春、渋谷さんが42年間勤め上げたニッセイを退職したことにより、花壇のスポンサーは今春、ニッセイから水谷組へと変わることになりました。渋谷さんはこの機会に、花壇づくりに継続的に関わってくれる仲間を募って、団体を発足させることにしました。それが「あるば・ローズ」です。「あるば」とは、ラテン語で「白」を意味します。花壇を彩る白いバラ由来の名前です。
「あるば・ローズ」には、当初から一緒に取り組んできた5名に加え、園芸について一緒に学んできた緑化園芸学校の仲間や、さっぽろ花と緑のネットワークを通じてよびかけた人たちが集まり、総勢20名でのスタートとなりました。
継続して関わってくれる人が増えたことで、これまで人の手が不足していた草取りや花がら摘みなどのメンテナンスの負担が少なくなり、また以前から取り組みたいと考えていた花の名前を記すサインの設置など、花壇を市民にとってより親しみやすくするための工夫もできるかもしれません。
いままで思い思いのやり方で花の世話をしてきた新しいメンバーたちと一緒に取り組む花壇づくりは、もしかするとコミュニケーションなど難しい点もあるのかもしれませんが、お互いに学び合い、刺激し合う機会にもなります。
これからどのように活動が発展していくかは、まだまだ未知数ですが、さまざまな経験や知識を備えた仲間が増えた分だけ、花壇の彩りもより豊かに、鮮やかになっていきそうです。
(文責:都築仁美)
<代表者>
渋谷 邦子
<連絡先>
〒007-0843 札幌市東区北43条東13丁目3-24
TEL・FAX:011-748-7325
渋谷 邦子

