【ガーデナーのお庭】~グリーンコーポ大谷地町内会「花の会」
白石サイクリングロード(厚別区間「陽だまりロード」)沿い、地下鉄東西線大谷地駅付近の草地に、幅1m、延長20mほどの細長い花だんがあります。春はチューリップにクロッカス、ムスカリやチオノドクサなど球根類が花を咲かせ、その後はリナリア、ラベンダー、タチアオイなどが次々に咲き、秋にはコスモスが風にそよぎます。季節ごとに変わる風景は通りかかる人の目を楽しませてくれます。


この花壇は、3年ほど前に、さっぽろタウンガーデナーの杉山 栄子(すぎやま ひでこ)さんと熱田 淑子(あつた としこ)さんが植栽と管理をはじめました。二人は、サイクリングロードを見降ろすように建つマンション・グリーンコーポ大谷地に住んでいます。マンション住民がつくる町内会の一員で、そこで「花の会」というグループをつくっています。同時に「まちづくりサルビア会」のメンバーです。「まちづくりサルビア会」は、厚別区の花をテーマにしたまちづくりの担い手育成講座がきっかけになって生まれたグループです。
サイクリングロードと、地下鉄駅とが接するマンション付近には、通勤・通学の自転車が駐輪場からもはみだしてしまうほど数多くとめられていて、花だんがつくられる以前にはこの場所にも自転車が乱雑に置かれていました。そこで二人は厚別区に相談して、花だんをつくる許可を得ました。
花だんをつくり始めた当初は、杉山さんが以前からマンション前のます花だんに植栽していたリナリア(宿根)や、自分たちで購入したタネや苗、「まちづくりサルビア会」の仲間などから分けてもらった植物を植えました。そのうちに、同じマンションに住む人たちが自宅では育てきれなくなった鉢植えの植物を花だんに持ってくるようになりました。たとえば鉢では花を咲かせなくなったアジサイは、杉山さんの手で花だんに直植えされ、見事な花を咲かせました。アジサイの元の持ち主はとても喜んで、花の時期には毎日のように眺めに来るそうです。母の日にもらったカーネーションを持ってきた方もいました。熱田さんいわく、「杉山さんの手にかかるとどんな植物でも元気になる」とのことです。
日曜日と雨の日以外は、毎朝5:30~7:30ころまで花だんの手入れ作業をするという二人の様子を見ていた新聞配達の人が、自宅に咲いている可愛いピンクの花を持ってきてくれたこともありました。
野の花からタネを採種して植えることもあれば、どこからやってきたのかわからない植物が、いつの間にか花を咲かせていることもあります。そんなふうにして種類はじょじょに増え、現在は100種類を超えました。
土が硬く、石がごろごろしていて、スコップもなかなか入らない、というのが当初からの悩みのタネです。そこで町内会の人たちに呼びかけて、いらなくなった植木鉢やプランターの土を分けてもらい、花だんにその土を入れるなどして工夫しています。
地域の住民の協力を得ながらコツコツ続けてきた活動の成果が実り、2010年度の厚別区の「みんなのガーデニングコンテスト」では団体部門で優秀賞を獲得しました。受賞を知った町内会の方の中には、ご祝儀をくれる人もいて、そのお金で花だんに使う支柱を購入しました。賞を得たことが、活動への励みになることはもちろんですが、より幅広い人たちの理解と協力を得るための後押しとなりそうです。
◆杉山さんと熱田さんのこと~ます花壇の取り組み
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杉山さんと熱田さんは「花の会」の活動の一環として、サイクリングロード沿い花だんだけでなく、ます花だんの植栽にも関わっています。ます花だんは、二人の現在の活動のきっかけにもなったようです。
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杉山さんは、子どものときに住んでいたまちで、学校から家までの長い行き帰りの道のりで、自然の花や緑を楽しみました。「そういったことが花を好きになったきっかけかも知れない」とのことです。
大人になってからは、あちこち転勤暮らしだったそうですが、現在のマンションに25年ほど前に移り住むまでは、家には必ず花を植える場所がありました。でも、マンションには庭がなかったので、マンション前の草ぼうぼうのます花だんに花を植え、手入れすることをたった一人ではじめました。朝早く、または日が落ちてから作業をするので、誰にも知られることなく続けていたのですが、ある日同じマンションの熱田さんが気が付きました。熱田さんは「あら、杉山さんだったの!」とびっくりしたそうです。
それまでガーデニングには関心がなかった熱田さんですが、杉山さんの取り組みに感銘を受けたようで、いっしょに手伝うようになりました。「杉山さんに勉強させてもらっている」という熱田さんは、土木センターから花苗支援が受けられることを調べたりして、それまでまったく自費でやってきた杉山さんのます花だんへの花植えをさまざまな形でサポートするようになりました。
現在手入れしているます花だんは6ヶ所です。風が強く、それぞれ日当たりがちがうのでそれを考慮しながら植栽する花や配置を決めています。花植えと10月末の撤去の時は、マンションの町内会の人たちにも呼びかけて作業を行っているそうです。









