参加のはしご
ワークショップの準備のために、まちづくりに関する資料に目を通していたら、ずいぶんに昔に読んだ本に書いてあった「参加のはしご」のことを思い出しました。
「市民参加」や「市民と行政とのパートナーシップ」という言葉は、よく聞こえてきますが、参加の程度や、パートナーシップの方法はさまざまです。そのさまざまをはかる指標の一つが「参加のはしご」です。
私はこの「参加のはしご」を『子どもの参画』という本で知りました。子ども向けのイベントや、学習プランづくり、その他、子どもに関わる決めごとなどを、子どもたちと一緒に考えるための手法や考え方を紹介した本です。
そこで説明されていた「参加のはしご」は、以下のような内容です。大人と子どもの関係として示されています。参加の度合いが一番小さい「はしご」の一番下の段から、徐々に登っていく(参加の度合いが高まる)順番でご紹介します。
1)操られる
→子どもたちは、おやつで釣られたり、ウソをきかされて参加させられる
2)お飾り
→おやつで釣られたり、ウソをつかれたりはしないけれど、子どもには意味が分かっていないのに、子どもも参加していることをアピールするために参加させられる
3)形だけ
→大人たちは、子どもの意見は形だけ聞くけれど、実際にそれを活かすことはほとんどない
4)役割を与えられ、内容を十分に知らされている
→子どもたちには、明確な役割が与えられていて、どのように関わるのか、どうして関わるのかなど必要な情報が与えられている
5)大人主導だが、子どもは意見がいえる
→大人たちが考えた計画に子どもたちは意見をいうことができ、意見がどう活かされるのか知らされている
6)大人主導だが、意思決定には子どもも加わる
→大人たちによって発案されたアイディアだが、意思決定のプロセスが子どもたちにも開かれている
7)子どもたちが発案して、子どもたち自身が実行する
→(大人はサポート程度)
8)子どもたちが主導し、大人を巻き込む
→子どもたちが発案するが、意思決定のプロセスが、大人たちにも開かれている(この場合、子どもたちが主体的に、大人たちの経験や知恵に学ぶことができる)
参加の度合いが一番高いのは「8」というのには、「なるほど、へぇ」と納得というか、感心しました。
この「はしご」、市民と行政との協働はもちろん、自分が関わる様々な場面での計画づくりや意思決定のあり方を考える上でも参考になりそうです。
また、「8」が一番参加の度合いが高いからといって、どんな場でも「8」が一番よい方法とは限らないでしょう。(でも1~3は、私ならイヤですが。)
いずれにしても、ワークショップの進め方や、ボランティア活動のあり方、まちづくりについて考える上で、「参加のはしご」は、なかなか示唆に富んだ指標だと思います。