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あつべつ花フェスタ

 5月12日(水)に、厚別区・アークシティホテルで行なわれた「あつべつ花フェスタ」に参加してきました。
 旭川・上野ファームの上野砂由紀さんの基調講演と、恵庭の内倉真裕美さんと上野さんの対談という、花と緑に関心を寄せる人にとっては、そうそうたる顔ぶれ、かつ魅力あるプログラム。
 主催された厚別区役所市民部地域振興課の方によると、100名定員のところ、130名もの人が集まったそうです。
 花と緑のまちづくりを考える上で参考になるお話が盛りだくさんだったので、簡単にご報告します。



◆上野さんの基調講演

 1906年に米づくり農家として入植して以来、射的山を望む地域でずっと農業を営んできた上野ファーム。お米を買いに来る方をもてなすために、あぜ道にルピナスなどを植えたことが、花とのかかわりのはじまりだったそうです。
 その後、イギリスでガーデニングを学んできた上野さんと、彼女のお母さんが中心になって、2001年から本格的なガーデンづくりが始まります。
 泥炭質だった田んぼの土壌を改善したり、当時は手に入りづらかった宿根草の種を取り寄せて育てたり、畑をおこす際に取り除かれた石を使って石積みをつくったり。すべて手づくりで、家族と一緒に取り組んできました。
 公開した2001年当初は100人くらいだった来場者が、クチコミで広がって、2年目には1000人以上、2009年には4万人以上の人が訪れたそうです。


 メディアで紹介されるようになってからは、沖縄や九州からの訪問客もあらわれ、その人たちから北海道の気候・風土が生み出す花・ガーデンの魅力を教えられました。本格的なイングリッシュガーデンづくりを目指していた上野さんは、自分たちのガーデンを「北海道ガーデン」と呼ぶようになりました。広い空や大地を借景とした北海道ならではの庭です。

 庭づくりを通じて、上野さんは、花と庭が人のつながりを生み出すことにも気がつきました。そして上野ファームを訪れてくれる人が、庭でもっと楽しんでくれるような工夫をどんどん生み出します。
 たとえば、植込みの講習を開いたり、ガーデンコンサートやフラダンスの発表会を地域の人と一緒に開催したり、野だてや結婚式をしたり。
 近郊の他の農家と連携して、とれたての新鮮野菜を農家のオバさんたち自身が販売する週末マルシェや、収穫祭も行なっているそうです。

 他にも風のガーデンにまつわるさまざまなお話などを、写真をみながら聞きました。ぜひ一度遊びに行きたいです。


◆内倉さん&上野さんの対談

 「砂由紀ちゃん」と親しげに呼びかける内倉さん。対談は、内倉さんが関わる「ブレインズ」の活動を通じての2人の出会いの話からスタートしました。


 開花期のバランスを考慮した植栽デザインの方法や、近所に伝染してしまうガーデニングの不思議さなど、経験を積み重ねてきたお二人の話は、説得力があります。
 北海道では、花のまちづくりの実践が数多くみられ、花があることでまちのゴミが少なくなり、よりまちがきれいになるということも教えてもらいました。心身に病を抱えた人が、花をみにきて癒されるといった話もきかせてもらいました。
 お二人の話に触発されてか、会場のアチコチで来場者の間に会話が生まれ、時折笑いが巻き起こり、なごやかというか賑やかな雰囲気。
 花やガーデンが持つ、まちづくり、つながりづくりのちからを実感できました。