2007.08.14

新月の夜

Filed under: インフォメーション — moere @ 00:00

akari

今夜は新月。空には月がありません。
こんな日には、月の代わりの光について考えてみるのはどうでしょう。

光が貴重であった時代から蛍光灯の光が家庭に溢れる時代を経て、ただ便利な家電であった照明器具は、ストレスフルな生活をよりよく生きるためのツールになってきているようです。
仕事や勉強をするときは神経が緊張する蛍光灯、リラックスしたいときには白熱灯といったように、光を使い分けるライフスタイルがメディアによって勧められ、こうした生活を既に実践されている方も多いことでしょう。

ノグチが照明器具である「AKARI」を生み出したのは、まだ光が貴重であった昭和20年代のことです。
アーティストとして活躍するようになってから訪れた2度目の日本で、ノグチは岐阜県を訪れました。岐阜県は、美濃和紙という薄くて丈夫な和紙を使った提灯産業が盛んで、そこでノグチは「AKARI」という照明彫刻のシリーズを生み出します。

このAKARI(あかり)の名前は、漢字で書くと「明かり」。この「明」という字は太陽を表す「日」と「月」から出来ています。太陽の光や月の光を部屋の中に取り込みたいという、ノグチの考えがこの名前には込められています。
生活に機械が多用され、便利になり、それに反して古来持っていた日本人の美しい伝統である畳、和紙といったものからなる生活が失われつつあった時代のことです。
ノグチはアメリカから来て、日本人が自国の美しさをないがしろにしていることを提言し、自らの作品にその日本の美を取り込みました。

最晩年まで「AKARI」の制作は続けられ、30年余りの期間で100種類以上のデザインが創作されました。
ノグチは晩年、アートが生活の役に立つことの重要性を語ることが多くなります。
「AKARI」はその最たるものとして、ノグチは誇りを持って「AKARI」は「光の彫刻」なのだと言っています。
影のない彫刻。光だけで出来たわれわれの生活を照らす彫刻。
月のない夜も、やわらかく部屋を照らし、夜の空間を光で満たします。

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